いかにして安さをお客様に伝えるか

前回からの続きです

プロにも価値判断の難しい婚礼たんす

ここで多くの家具店が導き出した答えは、エンドユーザーに価格の安さが伝わりにくい(実際はこれってプロ失格なのですが、ホントのプロなら伝わるように説明するのがホントなのですが・・・・・・)

どうせ伝わらない(伝えられない)のであれば、どーんと高く売っちゃえ~   と考えたのかどうかはわかりませんが

とにかく販売に大きな経費を使って販売する家具店が多かったですね

具体的に言うと 「外商」と呼ばれるスタイルです

私も修行時代、他店でこの「婚礼外商」を経験しましたが、かなりの経費が掛ります

外商ひとりひとりに専用の車が与えられ、日々10件前後のお客様宅に訪問し、店舗へと誘導するのが主な仕事

それについては高価なカタログや資料をお客さん宅に持参したり、遠方のお客様には高速道路のチケットをお渡ししたり

お迎えにうかがったり、来店されたらされたでお食事の提供は無論、お酒をお出ししたり・・・・・・

かなり気を使う仕事なので、外商さんにも成功報酬といいますか・・・・・・・・・常に目の前にニンジンがぶら下がっていました

当時、婚礼家具を月に5~6件、羽毛布団を3~4枚販売するだけで、基本給を十分上回るニンジンをもらいましたからね

で、そもそも何処から婚礼家具購入の見込み客を見つけるかと言うと、まずは電話です

日に200件も300件も適齢期のお嬢さんのおられるお宅に電話して、情報を聞き出します

10数人がほぼ毎日ですから、凄い電話代が掛ります

また当時は今ほど個人情報にうるさくない時代でしたから、結婚式場、神社、美容院、結納屋さん、布団屋さんなどから

見込み客を紹介してもらっていました、実体は知りませんがもちろんタダでは・・・・・・?

苦労して来店いただいてご成約、しかしこれで外商の仕事が終わったわけではありません

納品までに他店の外商が横やりを入れて、キャンセルなどにならないようにフォロー訪問というのが必要です

お届けまでの期間の長さに比例しますが、平均2~3回このフォロー訪問が必要になります

くさいこともします、自分の母親にもほとんどしたことが無いのに、購入のお宅のお母さんに母の日のカーネーションを贈ったり

御本人やお母さんのお誕生日に祝電やお花を贈ったり・・・・・・・・費用は全部会社が見てくれます

要はお客さんと何度も顔を合わせて人間関係を築き、商品力以外の部分で販売するという、私自身の考えとしては下の下だと思います

これもそれも、婚礼たんすなるものが価値判断(価格の高い安い) がしにくく、掛った経費を全て販売価格に載せても

分からないという点にあります

そんな婚礼たんすありきの時代、ベッドメーカーなどは我が世の春

タンス、ドレッサーさえ売れれば、家具店にとって他の家具はどうでもよく、当時普通は20%~25%引きがせいぜいの

フランスベッドやシモンズベッド、カリモクなど、家具屋によっては婚礼たんす購入客には

全て半額!! (酷い場合、差し上げます)を謳う家具店もあったほどです、現在の利口なお客様はこんな手には引っ掛かりませんが

当時は意外とこの方法、あたったみたいです

タダは極端としても、薄利や原価で販売したり、家具業界にとって当時ベッドは「もうからない品物の代表格」と考えられていました

小売店が原価で販売しようとタダで差し上げようと、ベッドメーカーが納める原価に代わりなく

なんとなく小売店もタンスで儲かっているから、ベッドまでは・・・・・・という雰囲気があったみたいですね 今では考えられないですが

ですからその時代はベッドメーカーにとって婚礼メーカーの庇護のもと? 我が世の春を謳歌してました

その根拠の一つとして、今はあまり見かけなくなりましたが、昔は展示のマットレスに汚れ防止のビニールが巻かれてました

その表巻きのビニール、メーカーがタダで持って来ませんでしたか   これをお読みの小売店のみなさん

こっちが言わなくても、展示のマットにビニール巻いてくれたし、時折一巻きビニールを持ってきてくれましたよね

あとはクレーム等があっても、「はいはい」と率先してメーカーが対応してくれましたよね

あれは儲かっていたからなんですよ、時代が変わりビニールを自社で購入しようとして、価格を聞いてビックリしました

タッ・・・・たっけー、こんなんタダでくれてたのかぁ~ と思ったことがあります

そんな販売方法が全盛の時代、弊社 新井家具は外商も持たず、もちろん電話もかけず、食事もお酒も出さず

販売員に報奨金も出さず、情報を買うこともなく、それでもかなりの婚礼たんすを販売しました

大安、友引の日祝などはトラックを何台も要車して納品するほどでした

どうしてそんなことが可能だったのでしょうか

それは次回ブログにて

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