ダイニングやソファー、などと違い、ベッドは 「まずブランド名ありき」なのです
お客様は中身が見えず、性能もわからないマットレスに身体を預けるのが不安で
その心配や不安を埋めるのが「ブランド」と言うことになります
ベッド館オープン当時の10数年前は、ベッドと言えばフランスベッド
来店されるお客様の多くは、フランスベッドこそが高性能、高級ベッドだと信じて疑わず
指定のお客様も、決して誇張ではなく今の10倍、いや20倍はおられたとおもいます
なぜそうだったのでしようか・・・
当時、テレビコマーシャルをそれこそゴールデンタイムで流していたのは、フランスベッドだけで
加えて、町を歩けば家具店に「フランスベッド取扱店」の看板を取り付けているところが多くありました
今でも地方に行けば、「フランスベッド」の看板を取り付けている家具店を多く見かけます
それがステイタスだった時代もあったんですね(笑)
とにかく、宣伝広告媒体に圧倒的にお金をかけ、露出を多くしていたのが当時のフランスベッドでした
そのころ(ベッド館オープン当時)、サータやシーリー、シモンズ、日本ベッドなどのメーカーを指定して
来店されるお客様は 「皆無」と言ってもよく、「シモンズって何?、フランスベッドなら知っているけど」
とお客様から言われたのを覚えています
ところが、これがインターネットの普及とともに激変します
今でもテレビCМの広告効果は大きい事に変わりはありませんが、ベッドのように
購入する側が得られる情報が極端に少なくその反面、知りたいと思う欲求が強い商品の場合
不特定多数に垂れ流しのCМよりも、深く広く、納得いくまで調べることのできるネットは最適で
(決して正しい情報ばかりと言えず、時としてそれがお客様の「迷い」を助長しますが・・・(笑))
これが他のブランドメーカーに対しての、知名度、認識の深さに大きな影響を与えます
サータ、シーリー、日本ベッド、シモンズなどのブランドメーカーを指定してのお客様が
ある日を境に激増し、指定までされなくても、メーカー名ぐらいは知っておられる方がほとんどになりました
批難されるのを覚悟して言います(笑)・・・・・・
もはやベッドの売れ行きは、性能や品質ではなく、いかに「巧みに」宣伝し、知名度、認識度を上げるかにかかってきます
「巧みに」と言うのは、宣伝に大きな費用を掛けるという意味と、必ずしも一緒ではなく
まさに「巧みに」という表現がぴったりで
逆にいえば少々性能が悪くても、「巧みに」宣伝されたベッドメーカーのものは売れるということでもあります
以前このブログの 「ベッドのソムリエ」のところにも書いたように
http://araibed.blog.fc2.com/blog-date-201102-6.html ベッドのソムリエ
ワイン通、食通を自認する芸能人が、高級ワインより1000円のワインを絶賛するのを見て
笑う、という番組があるのと同じで、素人に本当の良し悪しの判断は無理で
ワインと違い、本当に材料、製法、技法に精通した「ソムリエ」のいない我々の業界では
1000円の値打ちのワイン(マットレス)に何十万円の代価を払っていることにお気づきでない
お客様に対して、何も申し上げることができ無いのが悔しくてなりません
そういえば、最近よく耳にする「高級ホテルの寝心地をご自宅で・・・」とか
「このマットレスは〇〇ホテルのスイートに採用されています」 とか言う 「宣伝文句」をよく聞きますね
あれって、どちらのほうから接近したのでしょう?
寝心地が良いと評判のベッドメーカーを欲して、ホテル側からアプローチしたのか
それとも、何らかの理由で有名ホテルに是が非でも導入してほしいメーカー側から接近したのか・・・
このご時世、ホテル側としても設備投資は最小限に抑えたいことでしょうから・・・
考えると夜も寝られなくなってしまいます
世の中「巧みな」人が多いですからね