「人身売買と違法薬物以外、売れると判断したものはなんでも売れ」
正月あけの朝礼で、そう話した某メーカーの社長がおられるそうですが、私も激しく同意です
私も家具屋するよりも儲かるのならいつでも、それが例え全然家具に関係ないアンパンでも、すぐに切り替えろ
と社員に話してきました
しかし一つだけ・・・やるなら中途半端ではなく、その家具以外のアイテムの専門知識、うんちくを熟知したうえで・・・
という注釈が付きます
ただ片手間に異業種の品を販売するのは、その業界の人にも、お客さんにも失礼です
私が昔在籍した家具店では、キャンペーンと称して、宝石、紳士服、浄水器、掛け軸、壺などなどを販売しましたが
付け焼刃的に30分ほどの研修を受けて、「さぁ売ってこい」 大きなノルマを課せられて
未達の場合,ボロクソに怒られます これが原因で、私と同期の8名の社員全員が退職したぐらいです
そこまでするからには、よほどその家具店は、それを売ると儲かったのでしょうか
宝石の研修の際、こっちが何も知らない素人と考えてか、講師が好き勝手な説明をします
「よその宝石屋と比べて安いのですか」 とこっちが質問すると
「めちゃめちゃ安いですよ」という回答 へ~ぇ 安いんだぁ~
「指輪、宝石類なら何でも買えるのですか」 と質問すると 「はい」
そこまで質問しておいて
「じゃあ友達が、カルチェの3連リング欲しいって言っているのですが、どこの宝石屋でも99800円 なんです
同じもの安く買えるのですか」
「お・・・同じものはないんですが 似たようなものなら」
「いえ、同じものが良いんです、いま指輪なら何でも大丈夫と言ったじゃないですか なぜ無理なんですか」
なぜか、しどろもどろの講師 しかし私は追求の手をゆるめません
「じゃあカルチェはあきらめますが、喜平ネックレスはありますか」
喜平入りのネックレスは、グラムいくらと値踏みが比較的容易な品・・・・・と言う事は
当然、「扱っていません」 という回答
研修の場の私を含めた新入社員たちの間で、変な空気が広がります」
「ひょっとして、これって・・・」
焦った講師と部長が話題を変えたりして、何とか空気を戻そうとしますが、戻りません
「カルチェのリングと喜平ネックレス・・・100歩譲ってヨソと同じ値段でもいいでけど、とれますぅ~」
「もし取り寄せできれば、僕のノルマ達成できるのにぃ~、残念ですぅ~」
グダグダの研修が終わった後
部長に呼び出されて、「今後お前は研修中発言するな」 と注意されましたが
おかげで宝石キャンペーンのノルマの追求が、私だけ緩かったのは気のせい
宝石の商社が利益を取って、間に入った家具メーカーが利益を取って、最終その小売店が利益を取る
そして販売した社員には、その見返りとして・・・・・
これでヨソの宝石店より安い とは、 危機の商売を行っていたのですね
家具屋が片手間に専門外のアイテムを素人に売りつける
こんなことするんから、その家具屋いまでは全盛期の・・・・・・
ところでこの宝石キャンペーン、その家具屋の中で一番たくさん売ったのは、どんなスーパー営業マンだと思います
実は営業マンではないんです、それは商品部の人間
商品部の人間は、各メーカーと交渉して商品を仕入れる部署のこと、当然たくさんの家具メーカーに圧力をかけられます
「宝石を買ってくれたら、今後の仕入れの値段交渉を甘くする・・・」 と言ったとか言わないとか
「買わないと、違うメーカーに切り替える」と言ったとか言わないとか
勝手に取引メーカー社長あてに宝石を送り付けて 「代金は今月のおたくへの支払いから差し引いておく」 とか
・・・とにかく商品課の人間が一番宝石売ったことは間違いありません
その分、肝心かなめの家具の商品の仕入れ金額が甘くなったり、余分なものを売りつけられたりしても
それは家具屋にとって 「目に見えない損出」
それよりもメーカーに宝石売りつけて 「目に見える売り上げ」 を上げた方が上から褒められるもんね~
つくづく、やるなら徹底して専門知識と責任を持って販売できる革新を得てから・・・ そう思います