前回、前々回からの続きです
お客さんに価格の安さをアピールすることが難しい婚礼たんす、では当店はどうやって外商も持たず
情報を買うでもなく、多くのお客様からご支持をいただいたのか・・・・・・・
簡単なことです「安く仕入れて、安く売る」 です
先のブログで書いたように、祖父が桐たんす職人であった関係で、家具の裏の裏まで細部に渡り精通していました
まず我々が婚礼メーカーの展示会場に行き訪れるのはショールームではなく、工場
どういった作業がどういった人員でどのように行われているのか、そして部材を無駄にしていないか
その辺をまず見ろ、と教えられました
そして面白いのが、日々販売する婚礼たんすを検品(我々の用語で「調子を見る」といいます)
タンスに限らず、箱もの家具は完成品でメーカーから送られてきますが、木製品でもあり
100%のものはほとんどありません、少しキズ(あるいはキズに見えるような木目) がある
引き出しが堅い、金具の取り付けが甘いなどなど
具体的にはペーパー(紙やすり)を掛け、引き出しのすべりが良くなるように蝋を引き
場合によっては塗装をやりなおしたり
我々が「調子を見る」 ことでクレームの発生を未然に防ぎ、クレーム交換にかかる経費を軽減させる目的もあるのですが
それ以上に、普段から家具の内部を見知っておくと、「あれ? ここは以前天然木だったのに、プリントに変わっている」
とか、「あれ以前はここの部材、もう少し厚みがあったはずなのに・・・・」 とか「質感が変わった・・・材を変えたのか?」
などなど、パッと見ただけでは分からない事がわかるようになります
メーカーだってすぐにバレるところでコストダウンを図らないでしょうから、販売員自体が調子を見る家具店と言うのは
当時であっても少ないので、その辺も価格交渉において大きく影響します
加えて、メーカーの接待、いわゆる「脚付き(交通費) 宿つき(宿泊)、アゴつき(飲み食い)、女性の接待」 あぁ書いちゃった(笑)
これらを一切拒否してましたから、メーカーに弱みを握られることなく、存分に価格交渉できたわけです
そうして本物の家具を安く仕入れ安く売る
当時、新井家具が婚礼家具の販売粗利率に設定していたのは、なんと上から33.3%です
これを聞いて驚かれた他店さん(もうベテランの部類の方だと思いますが) もあると思います
もちろん一概に言えませんが、当時多くの家具店は婚礼たんすの粗利率を最低でも50%
大手は60%かそれ以上、で販売していたはずです
50%で原価の2倍、60%と言うのは2.5倍です
しかし、前回書いたような莫大な経費を掛けた売り方ではそれくらい利益をとらないと合わないのです
これは婚礼ダンスが売れなくなってしまった現在でも通用する方程式で他店さんも読んでるので詳しく書きませんが
お客様に「にわかプロ」 になっていただくのです
こういう部分をこういう見方でチェックすれば、その家具の適正価格が分かります
と言うのをご説明申し上げるわけです、そう・・・・その方法でチェックすれば、当店がいかに安いかと言うことが
お客様にも伝わるのです
当時、私は20代の若造でしたが、この新井家具の方程式により、口から生まれてきたような
百戦錬磨、海千山千の他店の婚礼外商にも、店頭の説明だけで何度も打ち勝ちましたから・・・・・
しかし婚礼外商というのも因果な商売です
私は決して優秀な外商ではありません、むしろ逆でした(笑)
ひとのプライバシーを根掘り葉掘り・・・・・・時には周りの人も巻きこんで自らの利とする
もう20数年前のことで時効でしょうし、今はさすがに外商なんて時代遅れの方法などやってるとこないでしようから
次回は外商のテクニック について色々と書きたいですね