私は学生時代、さまざまなアルバイトを経験しましたが、一番おもしろく
多くの経験ができた職種が,リヤカーを引いて売り歩く石焼き芋のアルバイトでした。
小石の中で間接的に加熱することで、でんぷん質がブドウ糖(だったかな?) に変化し
独特の甘みが出て、特に女性に良く売れました
もう20年以上前のことなので細かい金額は忘れましたが、確か一本400円だったと思います
しかし、それとは別に「プレミアム」と名前の付く、別箱に入った芋を渡されます
「一日限定〇〇個」の看板と、プレミアムがどれほど「良いもの」かを書いた看板を取り付け
いざ出陣!、プレミアム価格は680円です
すると必ずお客さんが聞いてきます 「プレミアムっておいしいの?」
社長から言われた通り、「糖度が段違い」だの「栽培方法が違う」だの、と話すと
さすがに当時はバブル景気、三人に一人は「プレミアム」を買っていきます
「プレミアム」しか買わない常連さんや、「こっち食べたら安いほう食べられへん」というおばちゃんもいました
ある日のこと、たまたま売れ行きがよく、半日で完売してしまい、もったいないので会社へお芋を取りに帰りました
そこで衝撃の事実を目撃してしまいます(笑)・・・・・
くわえタバコの社長が 「ごくろうはん」と言いながら芋をケースに入れてくれるのですが
おんなじ箱から取り出した芋を、プレミアム、普通芋の両方のケースに入れているではありませんか(笑)
さすがにその時は何も言えませんでしたが、後で大ベテランの先輩にそのことを話すと
今もって忘れられないことを言われました
「それも商売や」
「プレミアムを買ったお客さんは、人よりええもんを食べてるっていう満足感に差額の280円をだしてくれるのや」
「でも、それってダマシじゃないんですか?」と反論すると
「じゃあプレミアム買ったお客さんで、「まずかった」「だまされた」言ってきたお客さんいてるか?」
確かに先輩氏の言うとおり、先に話した常連さんや「プレミアムしか食べられへん」というお客
みんな一様に満足してプレミアムを注文してくれます
純情だった(今も)私は、ほどなくしてバイトをやめてしまうのですが
考えてみれば、芋の味や「ベッドの寝心地」なんていうものは自己満足の世界でもあり
ホームページ、店頭、ブログなどでできうる限り本音の部分で情報を提供させていただいていますが
それでも「プレミアム芋」のほうをお客様が選ばれるたびに、石焼き芋屋の大先輩の言葉を思いだします
「それも商売や」・・・・