寝返りせずにずっと同じ姿勢でいると、マットレスと接触して圧力のかかっている部分の血液の循環が悪くなったり、また重力のかかり方が一定であるため、身体の一定の部分に血液や体液が滞留しやすくなると考えられます。
血液には、全身を循環して酸素などの必要な栄養を全身に供給し、二酸化炭素などの不要物を集めるという重要な役割があります。
この血液循環が滞ると、肩こりや腰痛の原因となる場合があります。
1.重力のかかる方向を一定にしないことで、血液や体液の流れを促します。
寝返りすることによって、寝具の中に対流を生じさせ、自然と寝具の中の温度や湿度を調節したりしています。
また、発汗には体温調節(気化熱により体温を下げる)という重要な機能がありますが、寝返りが行われないと、圧迫されている側の身体の発汗が抑制される“半側発汗”という現象が起きます。
このため、暑いときにマットレスと接触している部分は体温を下げることができないため、接触部分が蒸れ、温度が上昇します。
熱帯夜には寝返りが多い、という印象があると思いますが、これは身体が体温調節を行っているあらわれなのです。
2.こもった熱を逃がし、快適な温度と湿度を保ちます。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、さらにノンレム睡眠が段階1〜4に分類される睡眠段階というものがあります。
ひと晩の睡眠は、この睡眠段階を繰り返すことで構成されていて、質の高い眠りには、このサイクルが重要と考えられています。
例えば深い眠りとされるノンレム睡眠の段階3や4が異常に長く続くような睡眠では良い睡眠とは言えません。
そして寝返りは、睡眠段階3あるいは4の終了時、レム睡眠に移行するノンレム睡眠期、レム睡眠の終了時に発生することから、睡眠段階を移行させるスイッチのような役割があると考えられています。
3.ひと晩の睡眠サイクルのリズムを整えてくれます。
上質な眠りをつくるのに欠かせない「寝返り」。
しかし、寝返りしているとき、脳は目覚めやすい状態。
だからこそ、睡眠中の自然な寝返りを妨げないことが大事なのです。
良質な睡眠のために、
眠りを科学的に考える
睡眠は、健康の維持・増進とこころ豊かな生活の基本となる生命現象です。
寝つき一つをとっても、就眠時の精神的・身体的状態の影響が40%近くを占め、その就眠前の状況に就眠環境がほぼ40%の影響を与えています。
入眠自体にも、就眠環境は15%ほど直接的に影響を及ぼしています。
日本では季節により外環境の温湿度が大きく変動します。
夏は暑く湿気が多く、冬は寒く湿度が低いという、世界でもあまり類のない季節変動を示します。
寝間着、枕、掛寝具は、季節により変えることができますが、マットレスは夏冬で変えることは難しく、また長く使用するために、その機能的特徴が睡眠に及ぼす影響が強い就眠環境要因です。
マットレスの役割は、筋肉の緊張がほとんど消失した身体を、睡眠中にしっかりと、かつやさしく保持することです。
また、楽に寝返りができることも快適な睡眠のための重要な条件です。
就眠には心理的要素の影響も大きく、自分が気持ちよく眠れるマットレスや寝装具を選ぶことも、快適な睡眠につながります。
睡眠についての科学的な研究は世界で数万件も報告されており、寝返りと寝心地を重視したマットレスによって、 睡眠が改善されることも科学的に確認されています。
睡眠の科学的な事実に基づき開発された寝装具を選び、快適に楽しく眠ることが翌日の活力と明るい気持ちにつながるのです。